

親知らずは第3大臼歯とも智歯ともいいます。
完全に生えていてしっかり咬んでいたらあることにこしたことはないのですが、顎が小さくて斜めや横に生えていたりまっすぐ生えていても歯の上に歯肉が被っていたりする場合は歯と歯肉の間に細菌が繁殖したりして体の免疫が低下した時に腫れたりするのです。これを智歯周囲炎といいます。また炎症ではなく虫歯になっていて痛いときもあります。ちなみに智歯周囲炎になっているときはすぐに歯を抜くことはできません。一度抗生物質で消炎してからでないと麻酔が効かなかったり術後出血が止まらなかったりするからです。(痛みのない親知らずはOKです)それに痛くなってもすぐ痛みはとれません。それは細菌による炎症だからです。ですから、親知らずの周りを消毒して抗生物質と鎮痛剤を約3日程服用して薬が効いてくれるのを待つしかありません。多くの場合、親知らずが少し顔を出しているのに出て来ないという場合横に生えていることが多いのです。女性ではこれから出産する予定のある方には以前腫れたことのある親知らずや腫れそうな生え方をしている親知らずは抜歯を勧めています。「妊娠中や授乳中に腫れたりしたら抗生剤や鎮痛剤を飲まなくてはいけないけれどいいですか?」ということを説明させていただくと抜こうと思われる方は多いです。
[親知らずの抜歯の仕方]
1. 親知らずの周りに麻酔をする。(約1本〜2本) 親知らずが深くもぐっている場合は神経ブロックを併用することあり。(伝達麻酔)
2. 歯肉を2カ所切開する。
3. 歯肉を骨から剥離して親知らずを見えやすいようにする。
4. 歯をバーで切断する。(頭と根っこに分ける)
5. 歯の頭を取り出す。
6. 根を脱臼させて頭があったスペースに出して取り出す(根が2本ある場合はもう一度分割)
7. 汚い肉芽とよばれる組織などをかきだす。
8. 縫合する。2針程度
9. 止血のためにガーゼを10分から15分咬んでもらう
[抜歯後の処方]
抗生剤(化膿止め)を約3日分処方、鎮痛剤は抗生剤と同時に3日間処方するか頓服として処方します。他にうがい薬を出したりします。
[抜歯にかかる時間]
親知らずの抜歯時間は歯科医の技術差によるのでDrによって様々です。当院では経験豊富な口腔外科専門医が抜歯しますので、歯が少し見えているような横向きの親知らずは麻酔入れて15分から30分くらいで抜くことができます。完全に骨にもぐっている場合は症例にもよりますが30分〜45分ほどかかることもあります。
[抜歯後の症状、偶発症](すべてあてはまるわけではありません)
1. 腫脹
腫れ、大きい飴玉1個分頬に含んだ感じ。アイスノンなどで急激に冷やしてはいけません。冷やすのなら濡れたタオルや冷えピタくらいで。術後、お酒を飲むと腫れがひどくなります。
2. 疼痛
痛み、ピークは当日麻酔が切れてから。術後予防的に鎮痛剤を飲んでもOKです。人によっては2週間近く痛む人もいますが大体3日〜1週間で落ち着いて来ます。
3. 出血
出血は唾液に薄い血が混ざるくらいだったら大丈夫。次の日くらいまで唾液に混ざります。枕を血で汚さないためにタオルなどを引いておくと安心です。術後、ガーゼを強く咬んでおくことが重要です。頻雑にうがいをすると血は止まりにくいです。術後激しい運動をしたりお酒を飲んだりすると血行が良くなって止まりにくくなります。たまに小動脈から出血すると血が止まりにくいときがありますがその時は担当医か医院が閉院してからだったら近くの歯学部付属病院または歯科口腔外科で深夜急患を扱っているところに連絡を。ちなみにお医者さんはどうやって止血させればいいかわからないことが多いようです。
4. 開口障害
口が大きく開けにくくなる。術後あまり冷やしすぎるとなかなか治らないことも放っておけば自然に治ります。
5. 皮下出血
抜いた場所からの出血が皮下を通って頬から首の辺まで降りてくることがあります。 皮下脂肪が多い女性に見られることが多く、打ち身のように青くなります。時期が経てば黄色くなって治っていきます。
6. 嚥下障害
ものを飲み込んだりする時に痛みがあります。これは炎症が喉の方に行った場合で、これも自然に治ってきます。
7. 知覚鈍麻
下顎神経を損傷したり、術中に歯根が神経を強く押したり、骨髄の中でうっ血したりして神経を圧迫したりすると下唇の下の皮膚の感覚がなくなったり痺れたりします。神経を切断や損傷したりすると知覚が数年鈍かったり戻らなかったりします。切れたり直接侵襲してなければ1週間〜数ヶ月で戻ることが多いです。