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2009/10/20 19:20

コーラで歯が溶けるわけ(酸蝕症)

コーラのような炭酸飲料や柑橘系フルーツなどの飲食物由来の酸で歯牙表層が軟化、溶解した状態を「酸蝕症」といいます。酸蝕症の臨床所見としては、

★質感や光沢・・・歯の表面性状や光沢が失われエナメル質が溶解するにつれて滑らかになる。
★色・・・エナメル質が薄くなるにつれ、色の濃い象牙質が透けて見えるようになり、歯はより黄みがかって見えることがある。
★透過性・・・歯の切縁は薄くなり透けて見えるようになる。
★構造・・・切縁部が脆弱化し、小さな亀裂や微少な破折が出現する。
★形態・・・歯頸部には楔状欠損が、咬合面には陥凹が形成される。

知覚過敏はどの段階でも起こりえます。予防には酸性の習慣的飲料水を減らすか、飲んだ後はうがいをする、再石灰化を促す歯磨剤を使うことなどが効果的です。

主な飲料のpH値(酸蝕リスク。pHが低いほどエナメル質が溶けやすい)
コーラ        2.2
カルピス       3.4
缶酎ハイ       2.9
梅酒         2.9
スポーツドリンク   3.5
100%リンゴジュース 3.6
赤ワイン      3.8
ビール        4.3
ウィスキー      5.0
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口腔内ph      5.4
お茶        6.3
牛乳        6.8
ミネラルウォーター 7.0

2009/10/16 18:48

ビスフォスフォネート剤と顎骨壊死について

ビスフォスフォネート系薬剤(以下BP)は骨粗しょう症や癌の骨転移などに対し非常に有効な治療薬で多くの方々に使用されています。しかし、最近、BP使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生する場合があることがわかってきました。最新の海外の調査(JADA,2009)では、抜歯を行なった場合、骨粗しょう症でBPを内服している患者さんでは4%の方に顎骨壊死が生じたと報告されています。(他の報告では悪性腫瘍でBPの注射を受けている患者さんの方が顎骨壊死の確率は高く7%〜9%と報告されています)顎骨が壊死すると、歯肉腫脹・疼痛・排膿・歯の動揺・顎骨の露出などが生じます。
一般の歯科治療(歯石除去、虫歯治療、義歯作製など)で顎骨壊死が生ずることは少なく、発生リスクが高い治療は、抜歯・インプラント手術・歯周外科などの骨への侵襲を伴う外科的処置です。BP長期使用、癌化学療法、顎骨への放射線治療、ステロイド薬、糖尿病、喫煙、飲酒、口腔内の不衛生などによっても顎骨壊死の発生率は増加するといわれています。
以上のことから、当科では、BPの内服中もしくは服用経験のある方に対しては、担当(処方)医との連携の下、以下の方針で歯科治療および口腔外科手術を行い顎骨壊死の予防に努めます。

1.歯石除去・虫歯治療・義歯作成など顎骨に侵襲がおよばない一般の歯科治療
顎骨や歯肉への侵襲を極力避けるよう注意して歯科治療を行ないます。治療後も義歯などにより歯槽部粘膜の傷から顎骨壊死が発症する場合もありますので、定期的に口腔内診査を行ないます。

2.抜歯・歯科インプラント・歯周外科など顎骨に侵襲がおよぶ治療
1)内服期間が3年未満でステロイド薬を併用している場合、あるいは内服期間が3年以上の場合は、BP内服中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
2)顎骨壊死の危険因子(糖尿病、喫煙、飲酒、癌化学療法など)を有する方もBP内服が中止可能であれば手術前少なくとも3か月間はBPの内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBPは休薬していただきます。
3)BP内服期間が3年未満で危険因子のない方に対しては、通常のごとく口腔外科手術やインプラント手術を行ないます。

なお、BPの休薬・再開などについては、担当(処方)医師と充分相談の上決定し顎骨壊死の発生予防に努めますが、上記の処置方針に従ったとしても顎骨壊死が生じる危険性があります。           

ビスフォスフォネート系薬剤 Bisphosphonates
エチドロネートetidronate (Didronel), パミドロネートpamidronate (アレディアAredia), アレンドロネートalendronate (Fosamax), リセドロネートrisedronate (Actonel), ゾレドロネートzoledronate (ゾメタZometa), イバンドロネートibandronate (Boniva)

睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)に注意!

朝起きると顎がだるかったり不快感がある。そして、歯の表面が年齢の割にすり減っていたり(咬耗)、被せ物がよくとれたりするひとは要注意です。「ブラキシズム」という病的な習癖を起こしている可能性があります。ブラキシズムとは上下の歯をすり合わせて音を出すグラインディング(歯ぎしり)や音は出さないが歯を強く噛みしめるクレンチング(噛みしめ)などの運動障害のことです。ブラキシズムは仮眠も含んだ睡眠中におきます。
人は物を噛んだり唾液などを飲み込んだりすると上下の歯が接触しますが、それは1日10分〜15分程度で非常に短いものです。普段の時は安静位といって上下の歯は常に2ミリ程度離れていて接触していないのです。しかし正常な人でも睡眠中は少なからずともブラキシズムを行っていますが、それが長時間に及び過度になってくると病的なブラキシズムとなり口腔内や周囲の筋肉、関節などに不調和を及ぼすようになるのです。

病的なブラキシズムが及ぼす影響
1)歯がすり減り歯痛がおこったり知覚過敏がおこる。
2)歯肉が退縮したり、歯が割れたり圧下されたりして歯周組織が損傷する。歯周病が悪化する。
3)被せ物がよくはずれたり、インプラントの予後を不良にさせる。
4)顎がこわばったり、疲労感、違和感が起こる。(咬筋や内側翼突筋、顎二腹筋などの閉口筋群)
5)顔面、側頭部、頸部に疼痛が起きる(側頭筋、胸鎖乳突筋など)
6)顎関節症が起こる。
7)唇、頬粘膜、舌に白い圧痕がつく。
8)睡眠障害を起こす。
9)咬筋(顎角部)が肥大し顔貌が変化する(ホームベース状の輪郭)
10)歯槽骨の外骨症(膨隆)が発症する。
11)強度な肩こり
12)情動ストレスを起こす。

睡眠中になぜブラキシズムが起こるかと言うことは現時点ではまだ解明されておらず、病的なレベルに増大させる原因としては精神的ストレスや噛み合わせ(咬合)が論議されています。そのメカニズムが解明されていないので治療法は対症療法となります。中でも寝るときに歯にスプリントを装着する「スプリント療法」が歯ぎしりなどを軽減させることがわかっています。自分自身で日常から噛み合わせないように
暗示させる「自己暗示療法」や安定剤などを用いる「薬物療法」なども治療法の1つとして行われます。
当院非常勤Drの小野先生は昭和大学の補綴科でこの「ブラキシズム」の研究をしています。今年の4月から南カリフォルニア大学(USC)に「ブラキシズム」の研究のために渡米します。頑張ってきて欲しいものです。