口腔外科
口腔外科って何をするところ?
歯科治療といえば虫歯の治療、歯周病の治療とばかり思いがちですが口の中やその周囲組織にはいろんな病気が起こります。
親知らずの抜歯、顎の関節、口の中の出来物や怪我などを専門に診療する科が「口腔外科」なのです(アメリカなどではメジャーな科です)。
口腔外科は歯科医院や病院歯科で、「口腔外科」を看板に標榜しているところであれば、診察を受けることができます。しかし診察する先生が、口腔外科専門医か長期間口腔外科勤務経験のある歯科医師でなければお勧めできません。結局、専門的知識や経験がないため、親知らずの抜歯でさえ違う病院にまわされます。
※口腔外科専門医とは、(社)日本口腔外科学会 が認定した専門医のことです。
専門医制度
専門医制度は、口腔外科学の専門的知識と経験を有する歯科医師または医師の養成および、口腔外科医療の発展と水準の向上をはかることを目的としています。日本口腔外科学会の専門医制度は、わが国における歯科関係の学会としては、もっとも古い歴史を有しております。
専門医について
口腔外科専門医とは学会の厳正な審査、専門医試験に合格した、技術的に優れた安心して治療を受けていただける医師・歯科医師です。専門医は口腔外科治療に関して充分な学識と豊富な治療経験を持ち、常に学識・経験の向上をめざしています。
当院では口腔外科という専門性をみなさんに認知していただきたいということであえて医院名に口腔外科という名前をつけました。口腔外科に対する相談は(社)日本口腔外科学会の口腔外科相談室をご覧下さい。
対象
抜 歯 | 埋伏智歯、埋伏歯、過剰歯などの難抜歯 |
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炎 症 | 智歯周囲炎、歯性上顎洞炎、骨炎、骨髄炎、歯周炎 etc |
顎関節の疾患 | 顎関節症、顎関節脱臼、顎関節骨折 etc |
口腔領域の嚢胞 | 歯根のう胞、顎のう胞 etc |
外 傷 | 歯牙脱臼、顎骨骨折、歯肉および口唇裂傷 |
粘膜疾患 | ウイルス性口内炎、ヘルペス性口唇炎、アフタ性口内炎、扁平苔癬、白板症、舌炎 etc |
唾液腺疾患 | 粘液のう胞、がま腫、唾液腺炎、唾石症 etc |
腫瘍および腫瘍類似疾患 | 顎関節症、顎関節脱臼、顎関節骨折 etc |
先天異常および後天的変形症 | 顎変形症(下顎前突、上顎前突)、小帯異常(舌小帯、上唇小帯、頬小帯) |
神経疾患 | 三叉神経痛、顔面神経麻痺 etc |
その他 | 埋伏歯の開窓、牽引、インプラント埋入、インプラント摘出 etc |
また、精密検査や入院手術が必要な場合は、専門病院をご紹介いたします。
(その他、ご希望の医院、病院がありましたら、お気軽にご相談ください。 )
親知らずとは
親知らずは第3大臼歯とも智歯ともいいます。
完全に生えていてしっかり咬んでいたらあることにこしたことはないのですが、顎が小さくて斜めや横に生えていたりまっすぐ生えていても歯の上に歯肉が被っていたりする場合は歯と歯肉の間に細菌が繁殖したりして体の免疫が低下した時に腫れたりするのです。
これを智歯周囲炎といいます。
また炎症ではなく虫歯になっていて痛いときもあります。
ちなみに智歯周囲炎になっているときはすぐに歯を抜くことはできません。一度抗生物質で消炎してからでないと麻酔が効かなかったり術後出血が止まらなかったりするからです(痛みのない親知らずはOKです)。
それに痛くなってもすぐ痛みはとれません。それは細菌による炎症だからです。
ですから、親知らずの周りを消毒して抗生物質と鎮痛剤を約3日程服用して薬が効いてくれるのを待つしかありません。
多くの場合、親知らずが少し顔を出しているのに出て来ないという場合横に生えていることが多いのです。
女性ではこれから出産する予定のある方には以前腫れたことのある親知らずや腫れそうな生え方をしている親知らずは抜歯を勧めています。
「妊娠中や授乳中に腫れたりしたら抗生剤や鎮痛剤を飲まなくてはいけないけれどいいですか?」ということを説明させていただくと抜こうと思われる方は多いです。
親知らずの抜歯の仕方
- 親知らずの周りに麻酔をする(約1本~2本)。
親知らずが深くもぐっている場合は神経ブロックを併用することあり(伝達麻酔)。 - 歯肉を2カ所切開する。
- 歯肉を骨から剥離して親知らずを見えやすいようにする。
- 歯をバーで切断する(頭と根っこに分ける)。
- 歯の頭を取り出す。
- 根を脱臼させて頭があったスペースに出して取り出す(根が2本ある場合はもう一度分割)。
- 汚い肉芽とよばれる組織などをかきだす。
- 縫合する。2針程度。
- 止血のためにガーゼを10分から15分咬んでもらう。
抜歯後の処方
抗生剤(化膿止め)を約3日分処方、鎮痛剤は抗生剤と同時に3日間処方するか頓服として処方します。他にうがい薬を出したりします。
抜歯にかかる時間
親知らずの抜歯時間は歯科医の技術差によるのでDrによって様々です。当院では経験豊富な口腔外科専門医が抜歯しますので、歯が少し見えているような横向きの親知らずは麻酔入れて15分から30分くらいで抜くことができます。完全に骨にもぐっている場合は症例にもよりますが30分~45分ほどかかることもあります。
抜歯後の症状、偶発症(すべてあてはまるわけではありません)
- 腫脹
腫れ、大きい飴玉1個分頬に含んだ感じ。アイスノンなどで急激に冷やしてはいけません。
冷やすのなら濡れたタオルや冷えピタくらいで。術後、お酒を飲むと腫れがひどくなります。 - 疼痛
痛み、ピークは当日麻酔が切れてから。術後予防的に鎮痛剤を飲んでもOKです。
人によっては2週間近く痛む人もいますが大体3日~1週間で落ち着いて来ます。 - 出血
出血は唾液に薄い血が混ざるくらいだったら大丈夫。次の日くらいまで唾液に混ざります。枕を血で汚さないためにタオルなどを引いておくと安心です。術後、ガーゼを強く咬んでおくことが重要です。頻雑にうがいをすると血は止まりにくいです。術後激しい運動をしたりお酒を飲んだりすると血行が良くなって止まりにくくなります。たまに小動脈から出血すると血が止まりにくいときがありますがその時は担当医か医院が閉院してからだったら近くの歯学部付属病院または歯科口腔外科で深夜急患を扱っているところに連絡を。ちなみにお医者さんはどうやって止血させればいいかわからないことが多いようです。 - 開口障害
口が大きく開けにくくなる。術後あまり冷やしすぎるとなかなか治らないことも放っておけば自然に治ります。 - 皮下出血
抜いた場所からの出血が皮下を通って頬から首の辺まで降りてくることがあります。皮下脂肪が多い女性に見られることが多く、打ち身のように青くなります。時期が経てば黄色くなって治っていきます。 - 嚥下障害
ものを飲み込んだりする時に痛みがあります。これは炎症が喉の方に行った場合で、これも自然に治ってきます。 - 知覚鈍麻
下顎神経を損傷したり、術中に歯根が神経を強く押したり、骨髄の中でうっ血したりして神経を圧迫したりすると下唇の下の皮膚の感覚がなくなったり痺れたりします。神経を切断や損傷したりすると知覚が数年鈍かったり戻らなかったりします。切れたり直接侵襲してなければ1週間~数ヶ月で戻ることが多いです。
症例写真
良性腫瘍
多形性腺腫
舌 乳頭腫
舌 血管腫
舌 線維腫
悪性腫瘍
舌癌
口腔底癌
舌癌
悪性リンパ腫
粘膜疾患
白板症
白板症
扁平苔癬
扁平苔癬
ウイルス性疾患
粘液嚢胞
舌小帯の手術(小児~大人)
手術前
手術後
手術前
手術後
手術中
上顎埋伏過剰歯の抜歯
嚢胞
含歯性嚢胞
唾石症
外傷
子供の歯による外傷(口腔外に貫通)
完全脱臼した歯の再植(顔面殴打されたことによる)
その他
ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死
咬傷
血腫(血豆)
色素沈着
下顎骨骨隆起
火傷
子供の咬傷(麻酔後の自傷)
歯内感染が原因の瘻孔
黒毛舌
その他(異常でないもの)
有郭乳頭
葉状乳頭
舌の表面(テーマパーク8020より)