精密根管治療
根管治療とは
根管治療とは、歯の根管の中から「虫歯が進行して炎症を起こした歯の神経」「細菌」「古い充填材料」等、これらをファイル(細かい針状の器具)とマイクロスコープを使用し丁寧に除去していく治療法です。
当院ではできる限り神経を温存する歯髄保存療法に努めますが、やむなく虫歯が神経に達し炎症を起こしてしまている場合や、すでに根管治療が行われているにもかかわらず根の先に病変が存在した場合は根管治療を行います。
また根管治療を行なってもなかなか治らない場合には外科的な歯内療法を行います。
当院の根管治療はマイクロスコープでの高拡大率の視野での治療、ニッケルチタンファイルを使用しての根管拡大など歯内療法専門医と同等の設備で行います。
歯髄保存療法
暫間的間接覆髄法
虫歯に感染した歯質を全て除去してしまうと神経が露出する恐れがある場合、数回かけて神経の露出を避けつつ虫歯を除去しながら、神経を保存する治療法です。
虫歯が深く神経に達しているが自覚症状がない場合
虫歯部分
神経ギリギリのところまで虫歯を削る
虫歯を一層残した状態で上からお薬を入れて仮封する
3ヶ月後 神経が虫歯を避けるように第3象牙質を形成する
残りの虫歯部分を削る
最終的な詰め物を入れる
間接覆髄法
虫歯が大きく進行している状態ですが、神経の露出が認められない場合、虫歯を除去した後、お薬で封鎖し神経を保存する治療法です。
虫歯
神経に間接的にお薬
直接覆髄法
虫歯が大きく進行している状態で虫歯を除去し、神経が露出した場合に神経に直接薬剤を置いて神経は除去せずに封鎖する方法です。
虫歯
神経に直接お薬
部分断髄法
歯の神経の一部の神経に炎症が生じている場合、炎症を起こしている神経のみを除去し、健全な神経は保存する治療法です。
生えたての永久歯など、この断髄法により仮に少しでも神経が残った場合は歯根の成長が続くため、10代の子どもの歯に有効な治療法です。
虫歯
虫歯と炎症のある神経を慎重に取り除く
最終的な詰め物を入れる
根管治療の手順
治療内容
- step1 切削器具を使って、虫歯になった部分を除去します
- step2 根管治療しやすいように歯に適度な大きさの穴をあけます
- step3 ファイルという器具を使い、歯根の感染した部分を除去します
- step4 根管を薬液で洗浄します
- step5 根管にお薬を入れ仮蓋をします
根管治療の予後
成功率
- 初めての神経の治療 約90%
- 病変が存在していた場合 約80%
- 神経の再治療 約60%
神経を取る治療の場合は成功率も高く90%以上との報告が多いですが、再治療になればなるほど(治療のやり直しになればなるほど)成功率は低くなります。例えば何度も根の治療を繰り返し、根の先端が本来の形を留めていないような場合は50%前後という成功率に下がります。
当院での根管治療のポイント
1. 滅菌について
根管治療に使用するファイルやタービンなど必ず滅菌したものを使用します。
近年、一般歯科医院で問題となっているタービン内部の洗浄・滅菌、患者さまごとの交換もしっかり行います。
2. マイクロスコープ
当院では医科の分野でも使われる歯科用マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を院内に導入しております。
日本国内の歯科医院で見るとマイクロスコープの普及率は数パーセントにすぎません。
歯の根の形状は複雑で細かいです。より高い成功率の治療を実現するためには、高倍率の視野を確保できるマイクロスコープの使用が不可欠です。
実際のマイクロスコープでの視野
マイクロスコープで
破折が確認された画像
マイクロスコープ倍率比較
5倍
12.5倍
20倍
31.25倍
3. ニッケルチタンファイル
根管治療は虫歯に侵された神経を除去するために「ファイル」と呼ばれる器具を使用します。このファイルの素材は大きく分けて二種類あり「ステンレス製」と「ニッケルチタン製」があります。
多くの一般的な歯科医院では、昔から使われているステンレスファイルのみを使用していますが、当院では主にニッケルチタン製を使用します。形状記憶素材で弾性が高く、十分な柔軟性を持ち操作性に優れているので、より精密な根管治療を可能とします。
ニッケルチタン製
ステンレス製
4. CTについて
根管治療時にCT撮影は必須ではありませんが、必要に応じて当院ではCT撮影も行うようにしております。
2次元のレントゲン画像だけではわかりずらい3次元的な情報が得られます。
5. ラバーダム防湿
ラバーダム防湿とは、主に根管治療の際に、ゴムのシートをかけて治療する歯だけを露出し、唾液や細菌などが根管内に入るの防ぐ方法です。
これにより器具・機材の誤飲を防ぎ、舌や頬を傷つける心配もありません。根管治療は殺菌力の強い薬剤も使用することがありますので、仮に誤ってこぼして頬や歯茎に影響を及ぼすというような事もありません。